コロナ禍の前の夏のこと。
たまにはボーイ活動以外でキャンプしようか。
というようなノリで、車でぶらりと琵琶湖まで。
オートキャンプ場。
おー、久しぶりとかなんとか。で、テントの設営も終えて一段落。
すると、しばらくして一人のキャンパーが軽自動車でやってきて、隣に駐車。
若いお兄さんが一人で、ニコニコしながらテントの設営を始めた。
立木とポールを利用して、ロープを張っていく。テント類はどこにも見当たらない。
ポールをロープとペグで入念に固定する。
ピンと張ったロープにタープをかけて片屋根式のテントを作るらしい。
タープにはシワひとつなく、きれいに張っていく。まるでガラス板のようだ。
なんか、ふんふんと鼻歌交じりに作業しているようだが、ぜんぜん急いでいない。
たまに離れては、違う方向から自分の立てたテントをうっとり眺めている。
ちらっと視線があったら、笑顔で軽く会釈してくれた。
迷彩模様のTシャツを着てたから、自衛隊の人かな。
そうか。僕が自衛隊の需品部で買った帽子をかぶっていたからかも。
他の人が楽しみながらテントを設営しているのを横で見物しているのもおもしろい。
あ、そこ。もうちょっと引っ張ったほうが。と、思ったら、かならず、修正してくる。
おおっ、やるなあ。
1時間もして、見事な片屋根式のテントが出来上がった。
今日は雨はふらないからな。これで十分。
ちいさなテーブルを出してきて、その前に座って、黙って空を眺めていた。
あいかわらず、彼は楽しそうだった。
ボーイのキャンプもこれ。
すべての作業を楽しそうにやらんとね。
楽しくなければスカウトティングじゃない。
弥栄